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山﨑武司86/BRZレース第5戦 in 富士スピードウェイ 7/21・22

皆さん!こんにちは!

ウエラ名古屋代表の森下です。

連日の猛暑日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?

さて、7月21(土)22(日)と富士スピードウェイでは、文字通り熱い86/BRZレース第5戦が開催されていました。

ウエラ名古屋にとってこの日はこれまでとは違う、一つ思い入れの深い2日間となりました。

なぜならば、山﨑さんの相棒86マシーンが弊社公認コーティング「Diamond9H」レース仕様特別コーティングを身にまとっての初のレーシングだったからです。

 

これまでの、ブログやニュースでお伝えしてきたようにこのコーティング剤は空気抵抗5%削減を実現するスペシャルバージョンとなっています。

通常のDiamond9Hの場合は耐久性を重視しますが、この特別バージョンはとにかく空気抵抗削減に力を入れているため、2回程のレースでその効力を失ってしまいます。

そこで、ウエラ名古屋スタッフも予定を調整して、今回の練習走行中やレース中もピットで待機し、合間を縫ってコーティングのメンテナンスなどを行わせていただきました。

今回はその模様をお伝えしますね。

 

私たちは金曜日から合流させて頂きました。

 

木曜日の練習走行での感触について、山﨑さんは正直自分では、そこまでの違いは分からなかったけど、いつも一緒に走ってる他のレーサーから

「山﨑さん!今日は何かストレートの伸びが良いね!」

と声を掛けられたと報告を頂きました。

「本当ですか!それは嬉しいです。」と会話を交わし、ここで思わぬオーダーが。

「チームメイトの吉田選手の車にも、施工してあげてくれない」と

「プロの彼ならほんの少しの変化にも気づくはずだから」

 

ということで吉田選手の#10のマシーンにも施工をすることが決まります。

 

ところが、問題発生。

 

私たちが今回持参した、レース仕様のトップコートが山﨑さんのマシーンをメンテナンスする分しかなかったのです。

そこで、緊急に九州の福岡にあるメーカーにオーダーをかけ、空輸で翌日に届くように手配をかけます。

 

そんなことをしている間に磨き職人の前田が練習走行後のメンテナンスに入りました。

コース外での軽い接触があったようで、ボディ側面にはかすり傷がついていましたので、磨き作業で応急処置。塗装についた傷はほとんど分からなくなりました。

土曜日の予選に備えて、メカニックによる整備も行われる中、邪魔にならないようにメンテナンスを行います。

110台が出走する今回のレース。予選のタイム順に速い45台がA決勝。さらに次の45台がB決勝に駒を進めます。予選敗退は20台。山﨑さんの目標は、B決勝の表彰台。20㎏で1秒のアドバンテージと言われています。体重115㎏の山﨑さんは仮に60㎏のレーサーとは2.5秒のハンディがあります。無改造の86/BRZレースですから、このハンディを背負ってでの全体の真ん中を狙うって、実は結構凄いことなんです。

山﨑さんも明日の予選に備えて作戦を練ります。そこへ、Vitzレースに参加しているスピードスケート金メダリスト清水宏保選手があいさつに。

二人でレースについて語り合います。

お互いトップアスリート同士。何を話しているのか分かりませんが、悩みがあるのでしょうか?

そんな、お二人が話されている中に、ずうずうしくも割って入る私。

快く記念写真にも応じてくださいました。

清水選手は小柄でしたがスピードスケートで鍛えた体は筋肉隆々。とても気さくでかつ誠実な方でした。

 

 

さて、迎えた土曜日の予選レース。

練習走行では2分10秒台前半が出ていたので、9秒台を目指しタイムアタックに挑戦する山﨑さん。

しかし、2周が終わりこれから、タイムアタックという時に、コーナーでトラブルが発生!

ゼブラ(縁石)に乗り上げた時に、ブレーキが抜ける現象が発生。

これは、ブレーキパットの遊び部分が振動で大きく離れ、ブレーキをかけてもブレーキパッドがディスクプレートまで届かないために起きるそうです。解決策は2,3回ブレーキをポンピングしてやれば元に戻るそうです。

この症状、プロドライバーでも良くあることだそうで、山﨑さんも事前にそういうトラブルがあることは聞いていました。でも、実際に経験するのはこれが初めて。聞いていたあの現象なのか、それとも、本当にブレーキが壊れたのか判断が付かない山﨑さん。レースとは言え安全第一を優先するので、それ以上は攻めずに予選走行を終了する、冷静な判断。

心は燃えていても頭はクール。大事なことです。

 

予定では5番手スタートからの5台抜きで表彰台トップを公約でしたが、23位と大きく出遅れてスタートとなった山﨑さん。「明日は10台は抜きたいね。」と目標を変更。普段は後ろを走っているレーサーたちを抜いていく展開になるレースです。実力では勝るとは言え、10台抜きはなかなか高いハードルになることは間違いありません。

「2重3重に塗って、5%どころか10%・15%ぐらい抵抗減らないかなぁ」と無理難題を言われましたが、「僕たちの思いはそれぐらいです」とお答えし明日の決勝での健闘を誓いあった二人でした!

日曜日の決勝は朝8:00からと早い時間のスタートです。

スタート直前のグリッドウォークでは、山﨑さんのマシーンを囲んで記念撮影。

ブレーキトラブルが発生しないことを、また猛暑の中、安全にレースを終えられることを願いならがらエールを送ります。

レーススタートです。

今回も、スタートダッシュを成功させた山﨑さん。なんと、一週目に5台をかわします。

その後、さらに2台をかわし、16位まで順位を上げます。

終盤には激しい猛追を受けるものの、自身の予選タイムを上回るラップを刻んでそのまま逃げ切りました。

目標の10台抜きには3台及びませんでしたが、大健闘です!

 

で、肝心の5%の空気抵抗削減の効果は?の質問に、

「正直、ストレートではなされっちゃったよ...」と残念なコメントが...

 

空気抵抗は確実に削減されている訳なので、その原因は他にあるはず。でも、そこにはあえて突っ込まず。

 

レース後に私の甥っ子にお疲れ様のチュゥをされる山﨑さん。

以外と嬉しそうな武司さん。子煩悩です。

「もう一周あればあと一台は抜けたかな。やっぱり予選順位をあげんといかんわ」と名古屋弁で語ってくださいました。

今回のレースで初めて経験したブレーキトラブルのため予選は不発となりましたが、「でもこれもレース」。次回からの良い体験ができたと前向きにとらえ、次戦8月の十勝スピードウェイでの第6戦に標準を絞った山﨑さんでした。

 

さて、今回からコーティングを通してレースのお手伝いをさせて頂き、改めて感じたのは、すべてのスタッフの尽力が、速く走ることだけではなく、安全にレースを終えることに使われているのだということでした。これは他のチームでも同じことです。レーサーを守るための安全装置の発達、無駄な接触事故を減らすためのルール作りなど、そのすべてが健全で魅力的なスポーツを作り上げています。その安全性の極限で培われた経験やノウハウが安全な車、もっといいクルマ作りに反映されているのでしょう。

 

豊田 喜一郎(1894 – 1952)トヨタ自動車創業者

「すべての機械というものは、理想通りに動くはずのものであるけれども、人間の考えた理屈というものは甚だ浅はかなもので、実際に動かして見ると我々が創造し得ないような結果になることも多々有る。どういう試練をして、それを知り改良するべきかというとオートレースをおいて他にはありえない。オリンピックにおいて全身全力を挙げて自分の力を試すと同じ様に、オートレースに於いてその自動車の性能のありったけを発揮してみてその優劣を争うところに改良進歩が行われ、モーターファンの興味を沸かすのである。単なる興味本位のレースではなく、日本の乗用車製造事業の発達に、必要欠くべからざるものである」

出典:86/BRZ Race – TOYOTA GAZOO Racing

 

たかがレース、されどレース

深いです。

 

なお、この富士スピードフェイでのレースならびに、これまでのまでの山﨑さんの愛車へのコーティングの様子が動画としてまとめられる予定です。そちらも楽しみにしてくださいませ。

 

次回、8月19日十勝スピードウェイ。乞うご期待ください!

 

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